はるか昔、寿永2年(1183年)の5月のことです。南兵衛藤原賀房という平家の武将が、砺波山の合戦に敗れ、源氏の軍勢に追われていました。賀房は命からがら追撃の手を逃れ、隠れ家を求めて山伝いに大牧の地に逃れてきました。やっとのことで追手をまいたのはいいものの、何もない山奥のことです。戦いによって受けたたくさんの傷を治したくても、医者を呼ぶこともできず、治療するにも薬一つありません。源氏の追手に見つかる前に、受けた傷を治したいと思うのに、何の術も見つからないまま何日かが過ぎました。賀房の気持は次第に焦ってきました。そんなある日のことです。賀房は近くを流れる庄川の川畔で、傷つき弱った体を休めていました。そこには一羽の鳩がいて、気持良さそうに水浴をしていました。しばらくして鳩は飛び去っていき、賀房が河原をみてみると、鳩が水浴びをしていた場所から、こんこんとお湯が湧きだしていました。賀房はふとその湧きだしている温泉のお湯を口に含んでみました。そしてゆっくりと体をそのお湯に浸すと、不思議なことに、まことに爽やかな気持になり、体の具合が良くなったような気がしました。賀房は、これこそ神が自分の為に授けてくださった温泉に違いないと大層喜びました。すっかり気持を取り戻した賀房は、毎日毎日そのお湯に浸かり、ひたすら湯浴みを続けました。そうしているうちに賀房の傷はみるみる完治し、すっかり具合が良くなってしまったそうです。 |
温泉データ | |
泉質 | 石灰含有弱食塩泉 |
温度 | 59度 |
効能 | 胃腸各疾患、神経痛、外傷、腺病、化膿病 |
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