今から1200年程まえのことです。近江の国より、岩那・磯那という二人の若者がここ佐波古の里を訪れました。二人が道を歩いていると、一羽の鶴が近くの山に降り立つのが見えました。ふと興味を覚えた岩那と磯那は、鶴が降り立った場所に近付いて、そっと様子をうかがってみました。鶴は、蝦夷の放った流れ矢によって傷を受けて、湯気の立ち上る泉で傷を癒していました。その様子を見てかわいそうに思った二人は、傷ついた傷口をそっと洗って、鶴を手厚く看病してやりました。やがて鶴は元気になり、空へと飛び立っていきました。 それから何日かたったあるひのこと、岩那・磯那のもとにたいそう美しく高貴な若い女性が訪ねてきました。その美しい女性は、何も言わずにだまって稲と粟と一巻の巻物を二人に差し出すと、またどこへともなく帰っていきました。二人はその高貴な女性に全く見覚えはなく、不思議に思いながら巻物を開いてみました。巻物には、"この佐波古の温泉は、神のお造りになられた御湯である。汝等は、二人でこの地を拓し、この地の民の暮らしを支えるべし"という神勅が記されていました。岩那と磯那の二人は、さっそく小さな草屋を造り、女が置いていった稲と粟の二殻を大事に耕作し、子々孫々にわたってこの温泉を開いていきました。 このいわき湯元温泉は、古くから日本三大名湯の一つに数えられ、現在では年間35万人もの観光客を向かえる温泉郷として賑わっています。 |
温泉データ | |
泉質 | 硫黄泉 |
温度 | 59.8度 |
効能 | 慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷、糖尿病、動脈硬化症 |
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